マシコヒゲムシについて

 石川県能登半島先端近くの九十九湾には金沢大学の臨海実験施設が設立されている。この前面の海は対馬暖流が流れ込む暖かい、しかも水深26m程度しかない浅い海である。しかしながら、世界で例外的に、ここだけヒゲムシとしては最も原始的な種類の1種が棲息し、それは1973年(1977年の深海艇アルビン号によるハオリムシの発見の4年前!)に国立科学博物館の今島実博士によって、ヒゲムシの新種としてマシコヒゲムシ(Oligobrachia mashikoi)と記載された。この和名は当時、臨海実験所所長であった益子帰来也(ましこ・きくや)氏に献名されたものである。また、2003年にこの種が分類されている属として世界で始めてマシコヒゲムシが全長に渡って採集され、その結果、特徴的な終体部をもつことが明らかになった(文献:比較生理生化学, 21, 30-36 (2004).から抜粋)。その後、2007年には、マシコヒゲムシが海底で生きている様子が観察された(Zool.Science, 24, 131-136(2007)。

参考文献

笹山雄一, 又多政博, 福森義宏, 松野あきら, 三田雅敏, 今島 実 有鬚動物マシコヒゲムシ終体部の外部形態と共生細菌 うみうし通信 40, 8-9 (2003).

笹山雄一 有鬚動物門マシコヒゲムシはどのように生きているか:その形態学的, 生理学的 特 徴. 比較生理生化学, 21, 30-36 (2004).

Sasayama Y, Matada M, Fukumori Y, Umebayashi M, Matsuno A, Nakagawa T, Imajima M. External morphology of the posterior end, the "opisthosoma", of the beard worm Oligobrachia mashikoi (Pogonophora). Zool.Science, 20, 1411-1416(2003)

Sasayama Y, Higashide Y, M Sakai, Matada M, Fukumori Y. Relationship Between the Lifestyle of a Siboglinid (Pogonophoran) Polychaete, Oligobrachia mashikoi, and the Total Sulfide and Nitrogen Levels in its Habitat. Zool.Science, 24, 131-136(2007)



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